先日、ギルバート・グレイプという映画をみた。
まだそれほど売れてない頃のジョニー・デップとレオナルド・ディカプリオが兄弟役で出演している作品で、僕が高校生の頃に両親と一緒にみた映画だ。
レオナルド・ディカプリオは知的障害をもつ少年の役をやっていて、その演技の自然さや表現力に高校生のころの僕は胸を打たれたが、物語の詳しい内容はほとんど忘れてしまっていた。
2回目の今回はディカプリオではなく、ジョニー・デップ演ずる兄(ギルバート・グレイプ)に胸をしめつけられた。
生まれ育った田舎町で寂れた商店で仕事をしながら、1人では生活できないほど太った母親と知的障害の弟の面倒をみる毎日。
本来であれば夢や希望にあふれる年代なのに、家族の世話と仕事だけの毎日で街から出ることもできない。なにも変わらないであろう日常。
初めて愛する人が出来て、また、最後のほうでお母さんは亡くなってしまうのだけど、その後もギルバート・グレイプは障害のある弟と暮らし続けているというエンディングだった。
そんな彼をみて、20年以上前みたころには感じられなかった感情がわいてきた。
それはやはり母の晩年に優しくしてあげられなかった後悔と、これから生まれてくる我が子がもし障害を持って生まれてきたときに、僕はギルバート・グレイプのように自分の人生、時間を犠牲にしてまで世話をみてあげられるのだろうか。
そんなふうに考えさせられる物語だった。
自分の人生を犠牲にしてまでも誰かを助ける。
そんなことに憧れながらも、これまではそれが出来なかった人生だった。
それにしてもだ。レオナルド・ディカプリオみたいに度肝を抜かれる演技、役ではなかったかもしれないけど、ジョニー・デップの寂しそうな、現実を諦めたような表情、エンディングのそれでも何か心に変化があったような表情。とても素晴らしかったです。
生まれてくる子供についてはこんな世に生まれて、僕らでは経験しなかった苦労をするのではとか色々と不安は尽きないけど、とにかく今は「生まれたらなんだか楽しそうだな」ってお腹の中で思ってくれるように、妻といつもバカ話をしてガハガハ笑っている。
たまに愚痴とかも聞かせてしまうかもだけど、産まれるまでにたくさんの笑い声を聞いて、生まれてからもたくさん笑ってくれる子になったらいいな。
そして彼が大きくなったら、一緒にギルバート・グレイプをみる機会があるかもしれない。
そのとき僕はどんなふうに感じるだろうか、そして息子は何を感じてくれるだろうか。
そのときまで3回目はみないでおこうと思う。
どうでもいいことなのですが、ヒロインの女性が髪型は全然違うが、目元など元カノにとても似ていた。なんであんなショ-トヘアだったのかわからないけど、魅力的な女優さんでした。